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第10回 財政再計算について(4)〈標準報酬月額等や給付費の将来推計〉(KKR平成16年 2月号掲載)

「私たちの共済年金」(KKR平成16年 2月号掲載)より

今回は、これまで紹介してきた基礎数・基礎率を使って、将来の標準報酬月額、標準期末手当等の額(以下「標準報酬等」という)や年金の給付費などを推計する方法を紹介します。

各年度の組合員の標準報酬等や年金の給付費が将来どのように推移していくかを見積るためには、組合員の年齢構成、在職期間、標準報酬等などや年金受給権者の年齢構成、年金額など(基礎数)がどのようになっているかを把握しなければなりません。それらを基礎率を使って各年度毎に一世紀先まで変化させていく、いわゆるシミュレーションを行って、将来の標準報酬等や給付費などを推計することになります。

推計方法を図に沿って具体的に説明しましょう。

1.組合員・標準報酬等の推計

まず、基準時点(今回の財政再計算では、平成14年度末)の組合員に関する基礎数 を出発点として、それが一年後にどのようになるかを推計します。

この一年間に退職、死亡、障害によって共済制度を脱退する人がいます。脱退者は、基礎率の総脱退率によって求め、基準時点の組合員数から脱退者数を差し引くことによって、一年後も在職している人を求めることができます。例えば30歳だった人は31歳になり、標準報酬月額はベースアップや定期昇給によって変わるので、ベースアップ率および基礎率の標準報酬指数によって一年後の標準報酬月額を算出します。

次に、新たに組合員となる人を基礎率の将来加入者の加入割合などで見込みます。こうして、一年後の組合員全部の状態が推計できます。この作業を繰り返すことで、各年度における組合員の人数、年齢、在職期間および標準報酬月額などを推計することができます。なお、平成15年4月に総報酬制が導入されたことから、標準期末手当等の額が必要となります。このため、基礎率として標準報酬に対する標準期末手当等の額の割合を男女別、年齢別に作成し、先の標準報酬月額の年間累計に当該割合を乗じて標準期末手当等の額を推計します。

2.年金受給権者・給付費の推計

年金受給権者数も組合員と同様に、基準時点の受給権者に関する基礎数を出発点として、それが一年後にどのようになるかを推計します。

この一年間に、年金受給権者が死亡して受給権が消滅する人を基礎率の失権率により算出し、基準時点の受給権者数から失権者数を差し引くことで一年後の年金受給権者数を求めることができます。例えば70歳の人は71歳になり、年金額は物価スライドなどによって変わるので、物価スライド率などで年金額を改定し、一年後の年金額を求めます。

また、共済制度を脱退した者について、その脱退事由により、退職共済年金、障害共済年金あるいは遺族共済年金の年金額を計算し、年金受給権者に加えます。

こうして、一年後の年金受給権者全部の状態を推計します。この作業を繰り返すことによって、各年度における年金受給権者の人数、年齢および年金額などを推計することができます。

なお、給付費については、退職共済年金で支給開始年齢に達していることなどの支給要件を満たすこととなった者の年金額から推計します。