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第9回 財政再計算について(3)〈基礎率の意味〉(KKR平成16年 1月号掲載)

「私たちの共済年金」(KKR平成16年 1月号掲載)より

1.基礎率の意味

今回は、前号に引き続き、組合員や年金受給権者を将来にわたって年々変化させて、毎年度の標準報酬月額、標準期末手当等や年金の給付費などを推計するために必要となる主な基礎率とそれぞれの持つ意味について紹介します。

2.総脱退率

組合員が一年間に退職し、共済制度を脱退する割合です。

この割合から、一年間に共済制度を脱退する組合員の人数を求めることができます。

また、この人数から死亡や障害により脱退する人数を除くと、退職共済年金の受給権者数を推計することができます。総脱退率と総給付費との関係については、一般的に次のことが言えます。

若年齢の脱退率が高いということは、早期に脱退する人が多いということです。早期に脱退する人は、在職期間が短く、平均標準報酬月額も低いことから、将来支給する年金額は低くなり、総給付費は少なくなります。逆に若年齢の脱退率が低い場合は、長期在職者が多いということになります。 長期在職者は、当然、在職期間が長くなり、平均標準報酬月額も高くなることから、将来支給する年金額が高くなり、総給付費は多くなります。

3.死亡率

組合員が一年間に在職中死亡する割合です。この割合と後に述べる有遺族率から、遺族共済年金の受給権者数を推計することができます。

4.障害共済年金者発生率

組合員が一年間に一定の障害状態となり、退職する割合です。この割合から、障害共済年金の受給権者数を推計することができます。

5.将来加入者の加入割合および標準報酬月額

新たに組合員になった人の年齢ごとの割合(構成割合)と標準報酬月額です。この割合から、将来何歳の人が何人組合員となり、その人の標準報酬月額がいくらかを見込むことができます。

6.標準報酬指数

組合員の年齢に比例して標準報酬月額がどのような傾向で変化するかを指数化したものです。指数は、ベースアップ分は含まれていませんが、定期昇給分を考慮したものとなっています。この指数から、保険料率や年金額を算定するために必要となる毎年の標準報酬月額を推計することができます。

7.有遺族率

組合員が在職中に死亡したり、退職共済年金などの受給権者が死亡した場合に、遺族共済年金を受給することができる遺族の有する人の割合で、遺族共済年金の受給権者数を推計することが出来ます。

有遺族率と保険料率との関係については、一般的に次のことが言えます。

有遺族率が高いということは、組合員や年金受給権者が死亡した場合に遺族共済年金を受給する遺族が多いということですから、保険料率は上昇します。逆に有遺族率が低くなる場合は、遺族共済年金を受給する遺族が少なくなるので、保険料率は低下します。

8.退職、障害、遺族共済年金者失権率

それぞれの年金受給権者が一年間に死亡などによって、受給権が消滅する割合で、この割合から、一年間に受給権が消滅する年金受給権者数を推計することができます。

失権率と保険料率との関係については、一般的に次のことが言えます。失権する人が少ないと失権率は低くなり年金を受給する期間が長くなるので、保険料率は上昇します。逆に、失権する人が多いと、失権率は高くなり年金を受給する期間が短くなるので、保険料率は低下します。

基礎率には、このほかにもいろいろなものがあります。
また、男性と女性では、組合員の脱退や年金受給権者の死亡の状況に違いがありま。そのほか、夫などが受ける遺族共済年金は60歳から支給されることや、子供のいない40歳以上65歳未満の妻が受ける遺族共済年金には算があるなど年金の給付要件にも違いがあります。そのため、基礎率は、男女別に区分して年齢ごとに作成されています。