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第5回 国共済年金の現状(4)〈収入状況の推移〉(KKR平成15年9月号掲載)

「私たちの共済年金」(KKR平成15年 9月号掲載)より

1.収支状況の推移

前号までは、国共済年金を支えている組合員と年金を受給している年金受給権者の状況を紹介しました。今回は、共済年金の収支状況(長期経理)の推移を別表で説明することにします。

2.長期経理の収支

長期経理の収入は、保険料等、運用収入およびその他に分けられます。

保険料等は、組合員が毎月並びにボーナスで納める掛金と、それに伴う事業主(国)の負担金等から成っており、掛金と事業主負担金の基礎となる報酬は、昇給や給与改定等の影響により増減します。また、5年毎に行われている財政再計算による保険料率の引き上げ(平成11年は保険料率据え置き)等の影響を受けます。

運用収入は積立金が増加しているにもかかわらず、長期化する経済の低迷に伴う大変厳しい運用環境により減少傾向にあります。

一方、支出の給付金は、年金受給者の増加、年金額の実質的価値を維持するために行われている物価の上昇率を基準とする年金額の改定(物価スライド)等により年々増加していましたが、平成14年度は、退職共済年金の定額部分と加給年金額の支給開始年齢の引上げの影響等により、わずかながら減少となりました。

また、平成11年から13年は年平均の全国消費者物価指数が下落しましたが、当時の社会経済情勢等にかんがみ、特例法により、12年度から14年度までは年金額の引下げが凍結されました。なお、平成15年度の年金額は、特例措置として11年から13年の据え置き分(△1.7%)を除き、14年の年平均の全国消費者物価指数が前年に比べて0.9%下落したことから、0.9%の減額改定となりました。

当期利益金は、当該年度の収入から当該年度の支出を差し引いた額で、平成3年度から9年度まではほぼ横這いで推移していましたが、10年度以降は減少が続いています。

なお、平成12年度については、地方事務官制度の廃止により国の職員である地方事務官の組合員としての資格が地共済から国共済に変更され、それに伴う移換金1,436億円を受け入れたため、収入および当期利益金とも増加しています。

この当期利益金は、将来の年金の給付に必要な原資として積み立て、効率的に運用することにより保険料率の抑制に寄与していると同時に、組合員への貸付などの福祉事業の財源としても活用されています。

3.財政状況の推移

年金の財政状況について、その年度の収入が、その年度の支出にどれだけ充当されているか(収支割合)、年度の支出総額の何年分に相当する積立金をその前年度末に保有しているか(積立倍率)を見ることにします。

4.収支割合

昭和45年度は、収入の31%が支出に充当され、69%が積立金に回っていますが、49年度から厚生年金に準じて物価スライド制が導入されたことによって、50年度には、年金額が増加し、保険料率を49年度に引き上げたにもかかわらず、51%が支出に充当されるという状況になっています。

その後も、保険料率の引上げが行われていますが、年金受給者の増加、年金額のスライド等により、支出に充当する割合は徐々に大きくなり、平成7年度には88%、14年度には99%になっています。

5.積立倍率

昭和45年度以前は、11年分から13年分程度を保有していました。
その後は、積立金、年金額がともに増加しましたが、その年数は次第に短くなっています。平成12年度末は4年分程度であり、その後はほぼ横這いで推移しています。

このような状況からも明らかなように、国共済の財政状況は、大変厳しい状況になってきていますので、引き続き年金財政の長期的な安定を図るための努力が求められているといえます。

別表

長期経理の収支状況の推移

年度 収入 支出 当期利益金 年度末積立金 収支割合
(%)
積立倍率
(年分)
保険料等 運用収入 その他 合計 給付金 その他 合計
昭和34 145 25 0 171 34 0 34 137 457 20,1 -
35 237 40 1 278 41 0 41 237 695 14,7 11,2
45 1,088 359 38 1,485 452 0 452 1,033 6,690 30,5 12,5
50 3,012 856 75 3,943 1,999 1 2,000 1,943 14,545 50,7 6,3
55 5,832 1,593 98 7,523 4,831 9 4,840 2,783 26,314 63,5 4,9
60 9,805 2,475 150 12,441 8,504 345 8,849 3,591 40,303 71,1 4,1
平成2 13,000 3,160 4,125 20,285 12,778 4,059 16,845 3,438 57,408 83 3,2
7 15,115 3,446 6,364 25,924 16,005 6,819 22,824 3,101 72,693 88 3
12 17,133 2,479 3,555 23,168 16,800 3,605 20,405 2,762 85,915 88,1 3
13 17,000 2,077 2,040 21,117 16,867 3,701 20,568 549 86,500 97,4 4,1
14 15,829 2,153 1,974 20,956 16,852 3,857 20,709 247 86,747 98,8 4,2

(注)

  1. 四捨五入の関係上合計が一致しない場合がある。