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年金払い退職給付(退職等年金給付)の平成27年財政計算について【詳細】

 国家公務員共済組合制度に新たに設けられる年金払い退職給付(退職等年金給付) は、 組合員の皆さまと事業主である国などの両者の負担による積立方式(注1)の給付です。
 この退職等年金給付に関して組合員の皆さまにご負担いただく掛金を算定する際の掛金率や、給付額の算定に必要となる付与率等については、国家公務員共済組合連合会 (以下「連合会」)が定めることとされています。
 ここでは、退職等年金給付に関して連合会が定めることとされている内容と平成27年に実施した財政計算の結果についてご紹介します。

注1:積立方式とは、組合員の皆さまご自身が年金を受給するときに必要な額を組合員である間に積み立てておく方式。 これに対して、現在の共済年金制度は、賦課方式の 考え方を取り入れ、年金支給のために必要な費用をその時々の保険料と積立金とその運用収入で賄う財政方式となっています。

財政計算の結果の概要【平成27年モデル年金額】

 財政計算の結果をモデル年金額で示すと次のようになります。

平成27年モデル年金額の計算の前提
  ・ 平均標準報酬月額  : 40.6万円
   ※ 国共済(平成26年9月末)と地共済(平成24年度末)の全組合員の標準報酬月額の平均値
  ・ 組合員期間       : 40年加入(20歳~60歳)
  ・ 支給開始年齢      : 65歳
  ・ 有期年金の受給期間 : 20年を選択
  ・ 付与率           : 1.50%
  ・ 基準利率         : 0.48%

● 平成27年モデル年金額
  ・ 給付算定基礎額(65歳時点)     4,206,940円
  ・ 年金月額(20年受給)      17,299円【終身退職年金:8,108円、有期退職年金:9,191円】


 上記のモデルについて、毎月の付与から給付までの概要を示すと次のようになります。

 退職年金のイメージ図(平成27年モデル年金ケース)

(注)
1.基準利率は、10年国債の応募者利回りを基礎として設定し、毎年10月に見直しが行われます。
2.退職年金の年金額は、その算定に用いられる年金現価率が毎年10月に見直しが行われるため、毎年受給額に変動が生じます。

【参考】
 ○ 標準報酬の月額が41万円の場合
  ・ 掛金額:41万円×0.75%=3,075円(月額)
  ・ 付与額:41万円×1.50%=6,150円(月額)
 ○ 終身退職年金額
   8,108円=終身退職年金算定基礎額(2,103.5千円)÷終身年金現価率(21.609620)
 ○ 有期退職年金額
   9,191円=有期退職年金算定基礎額(2,103.5千円)÷有期年金現価率(19.064542)
    ※ 受給期間10年を選択した場合
      17,958円=有期退職年金算定基礎額(2,103.5千円)÷有期年金現価率(9.760455)
    ※ 一時金受給を選択した場合
      2,103,500円

 また、退職等年金給付制度の創設が平成27年10月1日であることから、それより前の組合員期間を有する方については、その組合員期間に応じた旧職域部分を一元化以降 においても受給できる一方、退職等年金給付制度の加入期間が相対的には短くなるため、上記のモデル年金の金額も異なってきます。

【参考】平成27年モデル年金月額の推移

「積み立てる」ための掛金率・付与率・基準利率

 平成27年10月以降、組合員の皆さまには、標準報酬の月額または標準期末手当等の額に対し、「掛金率(注2)」を乗じた掛金(退職等年金掛金)を、厚生年金の保険料と は別に新たにご負担いただくこととなります。
 この新たな掛金をご負担いただくことにより、組合員の皆さま個人ごとに、掛金の基礎となった標準報酬の月額または標準期末手当等の額に対し、「付与率(注3)」を乗じた 「付与額」とこれに対する「(基準利率(注4)をもとに付利される)利子」が複利計算で累積します。

注2: 組合員の皆さまにご負担いただく率。法律上、0.75%が上限(連合会の定款で定められます)。詳細は こちら
注3:連合会の定款で定められます。詳細は こちら
注4:国債利回り等に連動する率(連合会の定款で定められます)。詳細は こちら

「給付する」ための年金現価率(終身・有期ごと)

 「付与額」と「利子」の累積額は、「退職年金」の受給権が生ずるまで引き続き「基準利率」をもとに付利され続け(給付算定基礎額)、受給権が発生した段階で個人ごとの給付算定基礎額の1/2 を「終身退職年金」として、残りの1/2を「有期退職年金」として受給することになります。
 この「給付算定基礎額」から年金額を計算する際に用いる率を「年金現価率」といい、「終身退職年金」と「有期退職年金」とでは年金を受給する期間などが異なることから、 別々の「年金現価率」を連合会の定款で定める必要があります(注5・6)。

注5:終身退職年金の年金現価率の詳細は こちら
注6:有期退職年金の年金現価率の詳細は こちら

計算基礎について

計算の基礎とした基礎数について

 組合員数と標準報酬の月額は、平成26年9月末時点の標準報酬統計を基に男女別・年齢別・組合員期間(年数)別に作成しました。

・ 国共済組合員【合計】  pdf形式  エクセル(.xlsx)形式
・ 国共済組合員【男性】  pdf形式  エクセル(.xlsx)形式
・ 国共済組合員【女性】  pdf形式  エクセル(.xlsx)形式

計算の基礎とした基礎率について

 平成26年財政再計算で使用した次に掲げる基礎率を使用しました(原則として平成21年度から平成23年度までの3か年間の動態統計調査及び年金受給者統計 を基に男女別・年齢別に作成。具体的に使用した基礎率の概要は こちら)。

標準報酬指数
報酬年額に対する期末手当等の割合
総脱退率
公務外死力
公務障害・公務遺族発生率(平成25年度実績)
退職年金失権率
障害年金失権率
遺族年金失権率

「付与率」の設定

 付与額の計算
 

上記により算定された各月の「付与額」に、「基準利率」による「利子」を加えた額の総額が、退職等年金給付の算定の基礎となる額(給付算定基礎額)になります(複利計算)。

 「付与率」とは、組合員である間に積み立てられる「付与額」を算定するための率で、次に掲げる事項などを勘案して定めることとされています。

・ 「組合員であった者とその遺族の適当な生活の維持を図ることを目的とする年金制度の一環をなすものであること」などの事情を勘案すること
・ 積立基準額(注7)と積立金とが将来にわたって均衡を保つことができるようにすること
・ 国共済と地共済で同一の率とすること

注7:積立基準額とは、給付に要する費用の予想額から、掛金および負担金(事業主負担分)の予想額を控除した額です。

出典:財政制度等審議会・国家公務員共済組合分科会(平成27年6月29日)提出資料

注)本イメージ図の「掛金額」、「掛金率」及び「掛金現価」は、本人負担分+事業主負担分を意味しています。

設定結果

以下を考慮して、「1.50%」と設定しました。

 ・ 退職等年金給付が、組合員などの適当な生活の維持を図ることを目的とするものであること
 ・ 公務の能率的運営に資することを目的とするものであること
 ・ 有識者会議の報告書 (抜粋。PDF:116KB)において、「年金額を現行水準より抑制」することとされていること
 ・ 保険料率の上限(1.5%)を超えない範囲で制度運営が行えること
 ・ 国共済と地共済の年金現価率は同一とする
 ・ 百分率で小数点以下第3位を四捨五入して、小数点以下第2位までとする

「基準利率」の設定

 基準利率による付利のイメージ

 

※ ここでの「基準利率」は1ヵ月単位に換算したもので、「利子」は複利計算で付与されます。

 「基準利率」とは、「付与額」に対する「利子」を算定するための率で、次に掲げる事項などを勘案して定めることとされています。 なお、この「基準利率」は、毎年9月30日までに連合 会の定款で定められることとされており、その年の10月から翌年の9月まで適用されます。

・ 国債の利回り(10年国債の応募者平均利回りの直近1年平均と直近5年平均の低い方)を使用すること
・ 積立金の運用状況とその見通し
・ 下限は0%とする
・ 国共済と地共済で同一の率とすること

設定結果

 10年国債応募者利回りの直近1年平均と直近5年平均を比較したところ、下記のとおり直近1年平均が直近5年平均を下回るため、 直近1年平均である「0.48%」 を基準利率として設定しました(百分率で小数点以下第3位を切捨て。適用期間:平成27年10月1日~平成28年9月30日。※ 最新の基準利率は こちら)。

平成26年度 10年国債応募者利回りの実績(単位:%)

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 平 均
応募者
利回り
0.6340 0.6020 0.6080 0.5620 0.5220 0.5170 0.5160 0.4390 0.4730 0.2950 0.3130 0.3960 0.4898

過去の10年国債応募者利回り(単位:%)

平成 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度
1年
平均
1.1063 1.1107 1.5177 1.3981 1.7947 1.6289 1.4827 1.3688 1.1652 1.0755 0.8056 0.6921 0.4898
5年
平均
1.4390 1.3594 1.3257 1.2904 1.3855 1.4900 1.5644 1.5346 1.4881 1.3442 1.1796 1.0214 0.8456

「終身年金現価率」の設定

 終身退職年金額のイメージ

 

※ B + 1年以後の年金額については、毎年10月の「基準利率」の見直しに伴い改定されます。また、物価や賃金の変動を基礎とした再評価は行われません。

 「終身年金現価率」とは、「給付算定基礎額」の1/2から「終身退職年金」としての年金額を計算する際に用いられる率で、次に掲げる事項などを勘案して、終身にわたり、 おおむね一定額の年金額を受給できるように定めることとされています(受給年齢別)。
 なお、この「終身年金現価率」は、毎年9月30日までに連合会の定款で定められることとされており、その年の10月から翌年の9月まで適用されます。

・ 「基準利率」
・ 国共済および地共済の死亡率の状況とその見通し
・ 国共済と地共済で同一の率とすること
・ 積立基準額と積立金とが将来にわたって均衡を保つことができるようにすること

設定結果

以下の前提のもとで下表のとおり設定しました(適用期間:平成27年10月1日~平成28年9月30日。※ 最新の終身年金現価率は こちら)。

 

・ 基準利率は、「0.48%」を使用する
 ・ 国共済と地共済においてそれぞれ男女別に計算した終身年金現価率を単純平均する
 ・ 国共済と地共済の年金現価率は同一とする
 ・ 小数点以下第7位を四捨五入して、小数点以下第6位までとする

終身年金現価率(適用期間:平成27年10月1日~平成28年9月30日。※ 最新の終身年金現価率は こちら

年齢 終身年金現価率 年齢 終身年金現価率 年齢 終身年金現価率 年齢 終身年金現価率
59歳 26.254878 74歳 14.770017 89歳  5.770224 104歳  1.920235
60歳 25.482034 75歳 14.039831 90歳  5.369283 105歳  1.785874
61歳 24.708706 76歳 13.321109 91歳  4.993011 106歳  1.661040
62歳 23.934883 77歳 12.615191 92歳  4.639423 107歳  1.543790
63歳 23.160449 78歳 11.923532 93歳  4.309047 108歳  1.430435
64歳 22.385472 79歳 11.247753 94歳  4.003110 109歳  1.312511
65歳 21.609620 80歳 10.589354 95歳  3.720693 110歳  1.167354
66歳 20.835534 81歳  9.957218 96歳  3.459305 111歳  0.927472
67歳 20.063340 82歳  9.346925 97歳  3.214531 112歳  0.869682
68歳 19.294145 83歳  8.759838 98歳  2.985908 113歳  0.792452
69歳 18.528404 84歳  8.196938 99歳  2.773195 114歳  0.651180
70歳 17.766831 85歳  7.658916 100歳  2.576167 115歳以上  0.541368
71歳 17.010504 86歳  7.146333 101歳  2.392465
72歳 16.260168 87歳  6.659930 102歳  2.222513
73歳 15.510503 88歳  6.200807 103歳  2.065428

「有期年金現価率」の設定

 有期退職年金額のイメージ

 ※ B + 1年以後の年金額については、毎年10月の「基準利率」の見直しに伴い改定されます。また、 物価や賃金の変動を基礎とした再評価は行われません。
 ※ 有期退職年金は、年金による受給に代えて一時金(給付事由が生じた日における給付算定基礎額 ÷ 2 )による受給を選択することも可能です。

 「有期年金現価率」とは、「給付算定基礎額」の1/2から「有期退職年金」としての年金額を計算する際に用いられる率で、次に掲げる事項などを勘案して、支給残月数の期間において、おおむ ね一定額の年金額を受給できるように定めることとされています(支給残月数別)。
 なお、この「有期年金現価率」は、毎年9月30日までに連合会の定款で定められることとされており、その年の10月から翌年の9月まで適用されます。

・ 「基準利率」
・ 国共済と地共済で同一の率を定めること
・ 積立基準額と積立金とが将来にわたって均衡を保つことができるようにすること

設定結果

以下の前提のもとで下表のとおり設定しました(適用期間:平成27年10月1日~平成28年9月30日。※ 最新の有期年金現価率は こちら)。

 ・ 基準利率は、「0.48%」を使用する
 ・ 国共済と地共済の年金現価率は同一とする
 ・ 小数点以下第7位を四捨五入して、小数点以下第6位までとする

有期年金現価率(適用期間:平成27年10月1日~平成28年9月30日)

支給残月数 240月(20年) 180月(15年) 120月(10年) 60月(5年)
有期年金現価率 19.064542 14.468187 9.760455 4.938647


 ※1.主な支給残月数のみを表記(全ての有期年金現価率  pdf形式  エクセル(.xlsx)形式
 ※2.最新の有期年金現価率は こちら

「掛金率」の設定

 掛金額の計算

 上記により算定された「掛金額」と同額の事業主(国等)による「負担金額」との合計額とこの合計額に対する利子が、「退職等年金給付」の財源となります。

 「掛金率」とは、組合員の皆さまにご負担いただく「掛金額」を算定するための率です。
 「退職等年金給付に要する費用の予想額」÷「標準報酬の月額等の予想額」により算出されますが、それぞれの額や「掛金率」を算出する際には次に掲げる事項を勘案して定めることとされています。

・ 積立金がゼロからのスタートであることや、掛金率に上限が設けられているために積立不足に対する追加拠出が無制限に行えないことから、制度発足後当分の間は、財政の安定に留意すること
・ 「付与率」(地共済と同率)および「基準利率」(地共済と同率)
・ 「掛金率」の上限は0.75%であること
・ 国共済と地共済で同一の率とすること

財政計算結果

 掛金率の計算においては、総給付現価(将来の年金給付額などを予定利率で割引計算した現在価値)から保険料現価(将来の保険料収入を予定利率で割引計算した現在価値)を控除した積立基準額と積 立金が均衡するよう設定することとされています(イメージは こちら)。
 今回の財政計算では、制度創設時点で積立金がゼロであることから、総給付現価と保険料現価が均衡するように下記のような前提のもと、掛金率を設定(百分率で小数点以下第2位まで)しました。

・ 計算基準日は、保険料適用日前1年以内の日とする
・ 退職年金にかかる財政方式は、退職等年金給付制度が組合員と事業主による積立方式の制度であることから、閉鎖型総合保険料方式(新規加入者を見込まずに、計算時点の組合員総数の将来給付額と保険料収入が均衡するように計算する方式)とする
・ 公務障害年金・公務遺族年金にかかる財政方式は、対象となる給付が発生した年度において、その者についての将来にわたる費用の現価に相当する額を1年間で積み立てる方式(必要保険料方式)とする
・ 事務費にかかる財源は、過去の実績に基づき設定する
・ 保険料率の上限は1.50%とする
・ 国共済と地共済の保険料率は同一とする

《計算結果》

 財政計算を行った結果、以下のとおり、保険料率が1.50%(組合員の掛金率0.75%、事業主負担0.75%)で財政が均衡することが確認されています(計数ごとに端数処理しているため、合計が一致しない場合があります。)。

主な財政計算の前提計数
  ・ 組合員数 387.1万人(国共済:105.8万人、地共済:281.3万人)
  ・ 予定利率   0.48% ※ 将来額を現価評価する際に使用します。

【今回の財政計算のイメージ図】

● 支 出

国共済 地共済 国共済 + 地共済 国共済 + 地共済
の費用率(①/②)
退職年金等現価 16,758億円 43,104億円 59,862億円 1.463%
公務障害・遺族年金現価 333億円 471億円 804億円 0.020%
事務費現価 130億円 589億円 719億円 0.018%
総給付現価 ① 17,220億円 44,164億円 61,385億円 1.500%

● 収 入

国共済 地共済 国共済 + 地共済 国共済 + 地共済
の保険料率(③/②)
標準報酬等現価 ② 1,148,020億円 2,944,291億円 4,092,311億円
保険料現価    ③ 17,220億円 44,164億円 61,385億円 1.50%

リーフレット

    ※ 財政制度等審議会・国家公務員共済組合分科会などにおける年金制度改革に関する議論のリンク集です